本稿では、ガンマ分布に従う確率変数を定数倍したものが従う分布を導出しています。線形変換後の確率密度関数の公式を使うと簡単に導出できます。
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【命題】ガンマ分布の線形変換
【命題】
ガンマ分布の線形変換
Linear Transformation of Gamma Distribution
確率変数 $X$ がガンマ分布 \begin{align} X \sim \mathrm{Ga} \left(\alpha,\beta\right) \end{align} に従うとき、 線形変換した新たな確率変数を \begin{align} Y=cX \quad 0 \lt c \end{align} とすると、 $Y$ は、ガンマ分布 \begin{align} Y \sim \mathrm{Ga} \left(\alpha,\frac{\beta}{c}\right) \end{align} に従う。
証明
ガンマ分布の確率密度関数 $f(x)$ は、 \begin{gather} f \left(x\right)= \left\{\begin{matrix}\displaystyle\frac{\beta^\alpha}{\Gamma \left(\alpha\right)}x^{\alpha-1}e^{-\beta x}&0 \le x\\0&\mathrm{other}\\\end{matrix}\right.\\ \end{gather} 線形変換の公式 $g \left(y\right)=f \left(\frac{y-b}{a}\right) \cdot \frac{1}{ \left|a\right|}$ より、 \begin{align} g \left(y\right)&=\frac{\beta^\alpha}{\Gamma \left(\alpha\right)} \left(\frac{y}{c}\right)^{\alpha-1}e^{-\frac{\beta}{c}y} \cdot \frac{1}{c}\\ &= \left(\frac{\beta}{c}\right)^\alpha\frac{1}{\Gamma \left(\alpha\right)}y^{\alpha-1}e^{-\frac{\beta}{c}y} \end{align} これは、ガンマ分布の確率関数において、 \begin{align} \beta\rightarrow\frac{\beta}{c} \quad x\rightarrow y \end{align} と置き換えたものとみなすことができる。 したがって、確率関数の一意性により、確率変数 $Y$ は、ガンマ分布 \begin{align} Y \sim \mathrm{Ga} \left(\alpha,\frac{\beta}{c}\right) \end{align} に従う。 $\blacksquare$
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.141 練習問題 ex.3.7.2
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