本稿では、変数変換後の確率密度関数の一般公式を導出しています。
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【公式】変数変換後の確率密度関数
【公式】
変数変換後の確率密度関数
Probability Density Function after Transformation
連続型確率変数 $X$ の累積分布関数と確率密度関数をそれぞれ \begin{align} F \left(x\right) \quad f \left(x\right) \end{align} とし、 $X$ の標本空間を \begin{align} \Omega= \left\{x:a \le X \le b\right\}\Leftrightarrow P \left(a \le X \le b\right)=1 \end{align} とする。
関数 $h$ が区間 $ \left(a,b\right)$ において、連続、かつ狭義単調関数ならば、$Y=h \left(x\right)$ の確率密度関数 $g \left(y\right)$ は、 \begin{align} g \left(y\right)=f \left[h^{-1} \left(y\right)\right] \left|\frac{d}{dy}h^{-1} \left(y\right)\right| \end{align} で与えられる。 ただし、 \begin{align} x\in \left(a,b\right)\Leftrightarrow h \left(x\right)\in \left(\alpha,\beta\right) \end{align} 区間 $ \left(\alpha,\beta\right)$ で $h$ の逆関数 $h^{-1}$ は微分可能 であるとする。
導出
(i)関数 $h$ が狭義単調増加の場合
関数 $h$ が区間 $ \left(a,b\right)$ において、連続、かつ狭義単調増加であるとすると、その逆関数も区間 $ \left(\alpha,\beta\right)$ において連続で、単調増加である。
$y\in \left(\alpha,\beta\right)$ に対し、$Y$ の累積分布関数を $G \left(y\right)=P \left(Y \le y\right)$ とすると、 \begin{align} G \left(y\right)&=P \left(Y \le y\right)\\ &=P \left\{h \left(X\right) \le y\right\}\\ &=P \left\{X \le h^{-1} \left(y\right)\right\}\\ &=F \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\} \end{align} 区間 $ \left(\alpha,\beta\right)$ で $h$ の逆関数 $h^{-1}$ が微分可能であるとすると、累積分布関数と確率密度関数の関係、合成関数の微分法により、 \begin{align} g \left(y\right)&=\frac{d}{dy}G \left(y\right)\\ &=\frac{d}{dy}F \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\}\\ &=f \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\}\frac{d}{dy}h^{-1} \left(y\right) \end{align}
(ii)関数 $h$ が狭義単調減少の場合
関数 $h$ が区間 $ \left(a,b\right)$ において、連続、かつ狭義単調減少であるとすると、その逆関数も区間 $ \left(\alpha,\beta\right)$ において連続で、単調減少である。
$y\in \left(\alpha,\beta\right)$ に対し、$Y$ の累積分布関数を $G \left(y\right)=P \left(Y \le y\right)$ とすると、 \begin{align} G \left(y\right)&=P \left(Y \le y\right)\\ &=P \left\{h \left(X\right) \le y\right\}\\ &=P \left\{X \geq h^{-1} \left(y\right)\right\}\\ &=1-F \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\} \end{align} 区間 $ \left(\alpha,\beta\right)$ で $h$ の逆関数 $h^{-1}$ が微分可能であるとすると、累積分布関数と確率密度関数の関係、合成関数の微分法により、 \begin{align} g \left(y\right)&=\frac{d}{dy}G \left(y\right)\\ &=\frac{d}{dy} \left[1-F \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\}\right]\\ &=-f \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\}\frac{d}{dy}h^{-1} \left(y\right) \end{align} ここで、$h^{-1}$ は単調減少 $\frac{d}{dy}h^{-1} \left(y\right) \lt 0$ なので、 \begin{align} g \left(y\right)=f \left\{h^{-1} \left(y\right)\right\} \left|\frac{dh^{-1} \left(y\right)}{dy}\right| \end{align} $\blacksquare$
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.62-63
- 久保川 達也 著, 新井 仁之, 小林 俊行, 斎藤 毅, 吉田 朋広 編. 現代数理統計学の基礎. 共立出版, 2017, p.23-25
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