本稿では、事象の独立性と排反性の関係を証明しています。
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【命題】事象の独立性と排反性
【命題】
事象の独立性と排反性
Independence and Exclusion of Events
事象 $A,B$ に対し、$0 \lt P \left(A\right),0 \lt P \left(B\right)$ のとき、
(i)事象 $A$ と事象 $B$ が互いに独立ならば、$A$ と $B$ は互いに排反ではない
\begin{align}
P \left(A \cap B\right)=P \left(A\right) \cdot P \left(B\right)\Rightarrow P \left(A \cap B\right) \neq 0
\end{align}
(ii)事象 $A$ と事象 $B$ が互いに排反ならば、$A$ と $B$ は互いに独立ではない
\begin{align}
P \left(A \cap B\right)=0\Rightarrow P \left(A \cap B\right) \neq P \left(A\right) \cdot P \left(B\right)
\end{align}
証明
(i)独立性の定義 $P \left(A \cap B\right)=P \left(A\right) \cdot P \left(B\right)$ と与条件 $0 \lt P \left(A\right),0 \lt P \left(B\right)$ より、 \begin{align} 0 \lt P \left(A \cap B\right) \end{align} したがって、$P \left(A \cap B\right) \neq 0$ より、 \begin{align} A \cap B \neq \emptyset \end{align} (ii)排反の定義 $P \left(A \cap B\right)=0$ と与条件 $0 \lt P \left(A\right),0 \lt P \left(B\right)\Rightarrow0 \lt P \left(A \cap B\right)$ より、 \begin{align} P \left(A \cap B\right) \neq P \left(A\right) \cdot P \left(B\right) \end{align} $\blacksquare$
コメント
$A$ と $B$ がともに起こりうる事象の場合、$A$ と $B$ が互いに排反ということは、$A$ と $B$ が同時には起こらないことを意味する。つまリ、$A$ が起こったということは $B$ が起こらなかったということと同値である。事象 $A$ が起きたという情報は、事象 $B$ の確率に大いに影響すると言える。
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.19-21 練習問題 ex1.4.3
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