条件付き確率の基本性質の証明

公開日:

【2023年3月1週】 【B000】数理統計学 【B010】確率と集合

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本稿では、条件付き確率の基本性質を証明しています。

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【定理】条件付き確率の基本性質

【定理】
条件付き確率の基本性質
Basic Properties of Conditional Probability

事象 A,B1,B2, について、標本空間を Ω とし、 0<P(A) のとき、 (i) P(Ω|A)=1

(ii)条件付き確率は0以上、1以下 0P(B|A)1

(iii)B1B2= ならば、 P(B1B2|A)=P(B1|A)+P(B2|A)

(iv)すべての ijBiBj= ならば、 P(i=1Bi|A)=i=1P(Bi|A)

(v) P(BC|A)=1P(B|A)

(vi) P(B1B2|A)=P(B1|A)+P(B2|A)P(B1B2|A)

(vii) P(B|Ω)=P(B)

(viii)AB= ならば、 P(B|A)=0

(ix)AB ならば、 P(B|A)=1

(x)BA ならば、 P(B)P(B|A)

証明

証明

(i)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(Ω|A)=P(AΩ)P(A) P(AΩ)=P(A) より、 P(Ω|A)=P(A)P(A)=1

(ii)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B|A)=P(AB)P(A) ここで、ABA なので、P(AB)P(A) であり、確率の公理 0P(AB) より、 0P(AB)P(A)0P(AB)P(A)10P(B|A)1

(iii)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B1B2|A)=P{(B1B2)A}P(A) 事象の分配法則 (AB)C=(AC)(BC) より、 P(B1B2|A)=P{(B1A)(B2A)}P(A)=P(B1A)+P(B2A)P{(B1A)(B2A)}P(A) 事象の結合法則 (AB)(AC)=A(BC) より、 P(B1B2|A)=P(B1A)+P(B2A)P{(B1B2)A}P(A) B1B2= より、(B1B2)A= であり、P{(B1B2)A}=0 なので、 P(B1B2|A)=P(B1A)+P(B2A)P(A)=P(B1A)P(A)+P(B2A)P(A) 条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B1B2|A)=P(B1|A)+P(B2|A)

(iv)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(i=1Bi|A)=P{(i=1Bi)A}P(A) 事象の分配法則 (i=1Bi)A=i=1(BiA) より、 P(i=1Bi|A)=P{i=1(BiA)}P(A) 各事象は互いに排反 BiBj= なので、P{i=1(BiA)}=i=1P(BiA) が成り立つため、 P(i=1Bi|A)=i=1P(BiA)P(A) 条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(i=1Bi|A)=i=1P(Bi|A)

(v)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(BC|A)=P(BCA)P(A)=P(A)P(BA)P(A)1P(B|A)=1P(BA)P(A)=P(A)P(BA)P(A) したがって、左辺=右辺となるので、 P(BC|A)=1P(B|A)

(vi)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B1B2|A)=P{(B1B2)A}P(A) 事象の分配法則 (AB)C=(AC)(BC) より、 P(B1B2|A)=P{(B1A)(B2A)}P(A) 確率の加法定理 P(AB)=P(A)+P(B)P(AB) より、 P(B1B2|A)=P(B1A)+P(B2A)P{(B1B2)A}P(A)=P(B1A)P(A)+P(B2A)P(A)P{(B1B2)A}P(A) 条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B1B2|A)=P(B1|A)+P(B2|A)P(B1B2|A)

(vii)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B|Ω)=P(BΩ)P(Ω)=P(B)P(Ω) P(BΩ)=P(B),P(Ω)=1 より、 P(B|Ω)=P(B)P(Ω)=P(B)

(viii)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B|A)=P(AB)P(A) 確率の基本性質 P()=0 より、 P(B|A)=0

(ix)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B|A)=P(AB)P(A) AB ならば、P(AB)=P(A) なので、 P(B|A)=P(A)P(A)=1

(x)条件付き確率の定義 P(B|A)=P(AB)P(A) より、 P(B|A)=P(AB)P(A) BA ならば、P(AB)=P(B) であり、確率の基本性質 0P(B)1 より、 P(B|A)=P(B)P(A)P(B)

参考文献

  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.14-16 練習問題 ex1.3.2, ex1.3.3

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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