本稿では、べき集合の要素数が2のべき乗であることを証明しています。
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【命題】べき集合の要素数
【命題】
べき集合の要素数
Number of Elements in Power Set
標本空間 \begin{gather} \Omega \end{gather} が $n$ 個の根源事象からなるとき、 事象の集合 \begin{gather} \boldsymbol{F} \end{gather} の要素数は 標本空間のべき集合の個数 \begin{gather} 2^n \end{gather} 個である。
証明法:二項定理を用いる方法
事象の集合 $\boldsymbol{F}$ の要素となる集合は、
「0個の根源事象から構成される集合」、「1個の根源事象から構成される集合」、
…
「$n-1$ 個の根源事象から構成される集合」、「$n$ 個の根源事象から構成される集合」
である。
一般に、$i=0,1, \cdots ,n$ 個の根源事象によって定義される事象の数は、
\begin{gather}
{}_{n}C_i
\end{gather}
個であると考えられる。
したがって、事象の集合の要素数は、
\begin{gather}
{}_{n}C_n+{}_{n}C_{n-1}+ \cdots {}_{n}C_i \cdots +{}_{n}C_0=\sum_{i=0}^{n}{}_{n}C_i
\end{gather}
ここで二項定理 $ \left(a+b\right)^n=\sum_{i=0}^{n}{{}_{n}C_i \cdot a^{n-i}b^i}$ において、$a=b=1$ とすると、
\begin{gather}
\sum_{i=0}^{n}{}_{n}C_i= \left(1+1\right)^n=2^n
\end{gather}
$\blacksquare$
証明法:根源事象の取り込みの有無を考える方法
事象の集合 $\boldsymbol{F}$ の要素となる集合のパターン数は、任意の根源事象について、部分集合に取り込むか取り込まないかの2通りがあり、それが全部で $n$ 個あるので、 \begin{gather} 2\times2\times \cdots \times2=2^n \end{gather} 通りある。 $\blacksquare$
参考文献
- 小寺 平治 著. 数理統計:明解演習. 共立出版, 1986, p.3
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.6
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